DCは税制上、3つの優遇措置があります。 こんなに優遇されているのですから、利用しないのはもったいないような気もします。
しかし、
あまり一般には書かれていない、受取りの時に所得として課税されるという重要なポイントがあります。
さらに、運用で損が発生しても、他の特定口座と損益通算することもできません。
個人型DCの場合、積み立てたお金は全て自分のお金。それを受取る時に所得として課税されるというのは、納得できないですね。
結局、積立時に所得として課税しない代わりに、受取り時には、しっかり所得として課税します、という事です。
個人型DCで積立てた方が得か否かは、所得や運用によっても変わりますので、上手に活用しましょう。
1. 積立時
個人の拠出金は所得から控除されます。つまり、所得税・住民税が下がります。 会社が拠出した掛け金も非課税です。
具体的にどれくらいメリットがあるのかは、所得や年金の被保険者によって異なります。それぞれ、第一号被保険者とDC、第二号被保険者とDC、第三号被保険者とDCで具体例を示しながら詳しく解説していますので、そちらを参照ください。
2. 運用時
利息、配当、分配金、売却益全て非課税です。
(特別法人税の対象ですが現在凍結中)
通常金融機関で投資信託で運用した場合、売却益、配当や分配金には、20.315%の所得税と住民税が源泉徴収されます。
つまり、
100万円の利益(売却益や配当金等)があると、203,150円源泉徴収され、手元には796,850円しか手元に残りません。DCではこの20万円強が非課税ですので、非常に効率よく資産形成が可能です。
ところで、最初に書いたように運用で損が発生したらどうなるのでしょうか?
一般に資産形成する場合、その人の全ての口座(複数の金融機関で運用していればそれら全て)の儲かった金額と、損した金額を年度で合算して(これを損益通算といいます)、利益があれば税金を払う。合計がマイナスなら、来年にマイナスを繰り越すことになります。
しかし、DCは損が発生しても他の資産運用口座と損益通算することができません。
また、
損を翌年に繰り越す事もできません。(DCは、もともと利益に課税されないので、損を繰り越す意味も無いですが)
つまり、
DCで損が発生しても、頑張ってプラスにするしかありません。
この事実は知らない人も多いのではないでしょうか。DCは大事な自分の老後の資産です。ほったらかしにせず、しっかり運用する事が重要です。
3. 受取時
・年金形式で受取る
DCを年金形式で受取る場合は、年金収入として扱われるため、公的年金控除の対象となります。
つまり、
一般の雑所得より年金控除の分、税金が安くなります。(雑所得として課税されます)
公的年金は年齢と年金額により、年金控除額が以下のように決まっています。
控除後の金額が雑所得となり、源泉徴収された税額と比較して、納めなければいけない所得税が少ない場合(取られすぎの場合)は、確定申告をすれば税金の還付(返金)を受ける事ができます。
逆に、
計算の結果、追加で税金を払う必要がある場合でも、公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありません。
間違っても確定申告して、不足分の税金を納めないようにしましょう。
ところで、
以下の一時金で受け取る場合にも書きましたが、もともとDCは、こつこつ毎月自分のお金を積み立てたもの。自分のお金を受け取るのに、雑所得で課税するってひどくないですか?
積み立て時に所得控除がある、運用益に課税しないと、エサで釣っておきながら、結局受け取るときに課税するって、ちょっとサギっぽいですね。
今後の制度改正で、自分で積み立てた分(拠出金)は年金所得(又は退職所得)から控除するようにして頂きたいものです。
そうは言っても、
DC制度全体としては節税と資産形成が可能な仕組みですので、DC制度を上手く活用しましょう。
出典:国税庁ホームページより抜粋
(1000万円以上の方は国税庁のホームページをご確認ください)
・一時金で受取る
一時金で受取る場合は退職所得控除の対象です。
こう書くと、何か節税できているように感じますが、もともとiDrCoの資産は、毎月せっせと自分が積み立てたお金ですよね。
自分で貯めたお金を退職金として受け取るのに課税するって、ちょっとひどいですよね。それなのに「DCは退職所得控除が受けられます!」って、騙されないでくださいね。
退職所得控除後の所得は退職所得として課税されます。
退職所得税および、雑所得の税金計算につては、「一括と分割どっちが有利?」を参照ください。