2019年度 住宅ローン減税


 これから、自宅を購入予定の方にとっては、消費税8%のうちに購入すべきかが大きな問題ですね。建物価額が4,000万円とすると2%増税で80万円も消費税が増える計算です。

 

 2019年度の税制改正で、どのような対策が行われるのでしょうか?

◆ 減税期間を10年から13年に3年延長

単純に3年間延長ではない点に注意が必要です。

少しややこしいですが、
『「建物価格の2%を3で割った金額」か、「10年目までと同様に年末ローン残高の1%」、どちらか金額が小さい方を3年間、さらに控除する。』
となっています。

 

 2019年度税制改正の比較表
消費税の区分 消費税8% 消費税10%

控除対象借入限度額

 (注1)

4,000万円 4,000万円

最大税額控除額

(年間控除額)

400万円(40万円) 480万円(40万円)

控除期間

10年 13年
控除率 10年間

(各年の年末の住宅ローン残高の)1%

(各年の年末の住宅ローン残高の)1%
控除率 11~13年 対象外 「建物価格(最大4000万円)の2%」か、「10年目までと同様に年末ローン残高の1%」、どちらか金額が小さい方を3年間、さらに控除
適用期間(居住開始日等)

平成26年4月1日~ 平成33年12月31日

消費税増税後平成31年10月から平成32年末までに契約して入居する物件
2020年12月31日までに入居

・所得税を控除してもなお引ききれない額がある場合、つまり、所得税よりも算出した住宅ローン控除可能額が上回る場合については、その超えた分について住民税から控除(上限あり)される
・納めた税額以上は戻らない
・住民税は戻り額に限度がある(最大 13.65万円)

 

(注1)認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の場合は4000万円が5000万円になる

 

   なお、東日本大震災の被災者は特例有り

 

それでは、具体的な計算例で考えてみます。

 

◆ 制度の最大額で試算すると、3年間で80万円の減税

 

最初に、最大でどれくらい、減税になるか計算してみましょう。

 

1) 建物価額の減税額は26.7万円/年

 

建物価額が最大の4,000万円の場合は、2%(80万円)の1/3で266,666円/年です。

 ( 建物価額 4,000万円 × 2% ) ÷ 3 = 26.7万円/年
 
2) 住宅ローンの減税額は29万円/年

 

住宅ローンは、最大4000万円を35年返済で元利均等返済した場合の、11年目から13年目の年末残額の平均を約2900万円(*注)と仮定すると1%は29万円/年です。

 

 住宅ローン残高 2,900万円 × 1% = 29万円/年

 

(*注) ローンの残額は、返済期間、返済方法やローン利率により大きく変わります。

 

3) 減税額は、少ない方の26.7万円/年

 

 どちらか小さい方を控除する、ということは、この場合、建物価額減税計算(26.7万円) < 住宅ローン減税計算(29万円)となり、少ない方の26.7万円が住宅ローン減税額となります。

 

つまり、消費税増税分2%を3年間で相殺してくれる計算です。

(3年延長分の合計額は、最大で80万円)

 

但し、

消費税増税分が返ってくるのは13年後なので、その分の利息支払いや、物価の変動などの要素を考慮する事は必要です。経済学的には、今の80万円と13年後の80万円では、現在の80万円の方が価値があると考えられます。

 

(参考情報)
認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の場合は、建物価額、住宅ローンの上限が、それぞれ5,000万円になります。

 

もう少し建物価額が安い例ではどうでしょうか?

 

◆ 建物価額が2500万円の場合

 

今回は現実的な、建物価額が2500万円ではどうなるか計算してみました。

 

1) 建物価額の減税額は16.7万円/年

 

建物価額が2,500万円の場合は、2%(50万円)の1/3で166,666円/年です。

 

 ( 建物価額 2,500万円 × 2% ) ÷ 3 = 16.7万円/年
 
2) 住宅ローンの減税額は21万円/年

 

住宅ローンは、3000万円を35年返済で元利均等返済した場合の、11年目から13年目の年末残額の平均を約2100万円(*注)と仮定すると1%は21万円/年です。

 

 住宅ローン残高 2,100万円 × 1% = 21万円/年

 

(*注) ローンの残額は、返済期間、返済方法やローン利率により大きく変わります。

 

3) 減税額は、少ない方の16.7万円/年

 

 どちらか小さい方を控除する、ということはこの場合、建物価額減税計算(16.7万円) < 住宅ローン減税計算(21万円)となり、少ない方の16.7万円が住宅ローン減税額となります。

 

この試算でも、建物価額の消費税増税分2%を、3年間で相殺してくれる計算です。

今回2つのパターンで試算しましたが、減税額の上限は建物価額の2%で足切りになる制度となっています。
財務省もうまく考えてますね。

 

住宅ローン減税を受ける条件を確認しましょう


◆ 契約の時期や入居の時期

 

今自宅の購入を検討されている方の関心は、13年間の住宅ローン減税を受ける条件ですね。

1)消費税増税後2019年10月から2020年12月末までに契約して入居する物件

まず、購入時に10%の消費税を払っている事が前提となります。

そもそも、この3年間の減税延長は、消費増税の住宅販売落ち込み対策のため、売買契約は2020年12月末までに契約する必要があります。
また、2019年10月以降に入居しても、売買契約を2019年3月までに行い、消費税を8%しか払っていない場合は、今まで通り10年間の減税となります。

2) 居住開始日は2020年12月31日まで

さらに、1)の条件に加えて、2020年12月末までに引き渡し、入居が必要となっています。

適用を受けるためには、居住した年の分の所得税について、翌年に確定申告書を提出してください。

◆ その他の要件

 

  • 自ら所有し、居住する住宅であること
  • 住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること床面積が50㎡以上であること
  • 床面積の1/2以上が居住用であること
  • 借入金の償還期間が10年以上であること
  • 年収が3000万円以下であること

中古住宅の場合、上の住宅の要件に加え、以下のいずれかを満たす必要があります。(一般住宅)

  • 木造…築後20年以内、マンション等…築後25年以内
  • 一定の耐震基準を満たすことが証明されるもの
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入していること・・・など
    ※平成26年度税制改正により、現行の耐震基準に適合しない中古住宅を取得した場合であっても、所要の手続を行うことにより、この減税の適用が可能となった

また、夫婦で共有する場合は、その持ち分割合で減税額を計算します。

 

増改築も住宅の取得に該当します。

 

◆ 消費増税前に自宅を急いで買う必要は無い

今まで見てきたように、今回の住宅ローン減税は、消費増税をほぼ相殺する内容となっています。
今、自宅購入を検討されている方は、業者の説明に惑わされて、あわてて購入しないようにしましょう。

一生に一度の大きな買い物ですので、後悔の無いようにしてください。

また、消費増税後の販売不振によっては、大きな値引き合戦になる事もあります。
さらに、2020年前後にはオリンピック終了に伴う、不動産の下落を予想する専門家も多くいます。

もちろん、
気に入った物件があれば、増税前に購入するのも良いと思います。
生涯そこで暮らすとすれば、不動産価額の値下がりはどうでもよい事です。

重要なのは、じっくり自分の気に入った物件を探すことです。
今回の税制改正で、消費税の増税は無視しても良いと思います。

 

但し、

2021年以降に購入する場合は、今回の減税特例措置が受けられなくなりますので、十分注意してください。

 

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