少し古い話題となってしまいましたが、平成30年度の税制改正要望書が金融庁から発表されています。(以下のURLにPDFが保存されています)
http://www.fsa.go.jp/news/29/sonota/20170831/20170831.html
これによると、NISA関連は利便性向上とうたっていますが、大きな変更は無いようです。NISAの恒久化は、毎年要望として出ていますが、国税庁からの反対で期限の延長は難しいようです。
発表された大綱を見ると、金融庁からの要望から一部変更が行われたようです。
以下は自民党HPにある税制改正大綱です。
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/133810_1.pdf
これによると、積み立てNISAは予定通り新設されることになりましたが、既存のNISAの恒久化は盛り込まれていないようです。また、「複数の制度が併存するNISAを積立・分散投資に適した制度(積立NISA)への一本化を検討する」となっています。つまり現行のNISAは延長せず、当初の予定通り10年で終了することになりそうです。
また、積み立てNISAの年額は金融庁の要望では60万円でしたが、大綱では40万円に縮小されました。年額40万円はちょっと少ないですね。毎月積み立てと言いながら、12でも割り切れない中途半端な額となっています。
2016年10月21日NISAがどのように利用されているかが公表されました。
資料によると、
平成28年6月末時点でのNISA口座数は1030万、累計買付金額は8.4兆円で順調に推移している。...
ただし、
となっています。
詳細は以下の金融庁のHPで見ることができます。
http://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20161021-1.html
8月末に金融庁から、税制改正要望が発表されました。
今回は「活力ある資本市場と家計の安定的な資産形成の実現」として以下の3つが上がっています。
◆ 少額からの積立・分散投資の促進のためのNISAの改善
◆ 金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)
◆ 上場株式等の相続税評価の見直し等
NISAについては、恒久化を踏まえた改善が含まれてますので、詳細に解説したいと思います。
なお、以下のサイトで税制改正要望を見ることができます。参考にしてください。
http://www.fsa.go.jp/news/28/sonota/20160831-3/01.pdf
新しく積立投資に限定した「積立NISA」の制度ができるようです。
(積立NISAの制度イメージ参照 出典 金融庁ホームページより抜粋)
積立NISAとはどのようなものか、詳細に見ていきましょう。
年間投資上限額:60万円、非課税期間:20年間 となっています。
資料によると、
「長期・分散投資のメリットを十分得られるよう、現行NISAよりも年間投資上限額を小さくする一方、非課税投資期間をより長期とする」となっています。非課税期間が5年から20年になるのは、メリットが大きいですね。今までNISAは5年という制約で、値下がりのリスクが大きかったのですが、20年になることで、仮に値下がりしても、値上がりするまでじっくり待つことが可能となります。また、20年という長期に渡り非課税となりますので、積立た60万円が大きく増える可能性も出てきます。
但し、年間投資上限と、長期・分散投資とは関係が無く、単に金融庁がトータルの非課税枠を増やしたくないだけのような気がします。
なお、積立NISAと現行のNISAは、どちらかを選択する事になります。
また「積立NISA」では以下の制約が設けられます。
・長期・分散投資に適した一定の投資商品に限定
・定期・定額での投資(積立投資)に限定
つまり、投資対象は毎月積立の投資信託、ETFに限定されます。現行NISAで投資可能な、株式やREITは対象外となるようです。
また、投資信託の中でも、バランスファンドのように、長期投資に向いている物に限定されます。逆にNISAに不向きな毎月分配型投資信託は除外されるようです。これはNISAで毎月分配型投資信託を買えなくするという事ですので、画期的な施策と思います。
今回の積み立てNISAは恒久化されます。生涯毎年60万円を積み立てることが可能となります。
60万円を20年継続して投資すると、最大で1,200万円もの投資を非課税で行うことが可能となります。現行のNISA(120万円で5年)600万円と比較すると、投資枠としては2倍になります。
最終的に非課税枠は40万円/年となりました。20年で800万円の投資が可能です。
今回の資料では20年後のロールオーバー等の記述はありませんでした。従って、20年間売却しなかった場合は、その時点で売却するか、課税口座に、その時の時価で払い出す事になるのか、定かではありません。後述の現行NISAの非課税機関終了時の対応も関連するかもしれません。
▼今回の積立NISAの改善ポイント
1.現行NISAの以下の問題が解決される
・非課税期間が5年と短いため、損失がでた場合、損益通算ができずに増税となるリスク
・投資可能期間が10年と限定されているため、ロールオーバーは最初の5年のみで、一度しかできない。含み損が出ている場合、損益通算ができずに増税となるリスク
2.積立NISAのメリット
・毎月積み立てによる高値つかみのリスクを軽減できる
・NISAと相性の悪い毎月分配型投資信託を排除し、長期分散投資のメリットが生かせる
・20年という長期・分散投資のメリットを生かせる
・投資可能期間が恒久化され、継続した投資が可能
・20年間の非課税枠上限が2倍の1,200万円となる
今後、確定拠出年金(DC)との使い分けも重要となってきます。特に第3号被保険者は、DCより積立NISAの方がメリットが大きいでしょう。日本も資産運用をまじめに取り組む人と、そうでない人とでは、生涯の総収入に大きな開きが出てくる時代になりそうです。
現行NISAも大きく2つの改善が行われます。
◆5年後の非課税期間終了時の対応
現行NISAで問題のあった、5年後の非課税期間終了時に、含み損が出ている場合の改善が行われます。
(以下の現行NISAにおける非課税期間終了時の対応参照:出典 金融庁ホームページより抜粋)
今までは、5年後の非課税期間終了時に含み損が出ていると、課税口座に払い出す時点で、時価での払い出しとなっていました。
例えば100万円で購入した商品が80万円に値下がりしていた場合、80万円の簿価として課税口座に引き継がれるため、その後もとの100万円に戻っただけで、差額の20万円に20.315%課税されるという理不尽な制度となっていました。つまり、この例では、1円も利益が出ていないのに、約4万円税金を取られるという制度でした。
今回はそれを見直し、「買った商品が値下がり(含み損が出ている)していたら、払い出し価格は購入時の価格にします。」という改善になっています。なぜ、最初からそうなっていないのか不思議ですが、今回の改正でようやく問題が改善されます。
ただし、途中で損切りした場合は今までと同様、他の口座と損益通算できませんので、注意が必要です。NISA口座で含み損が出ている場合は、非課税機関の最後まで持ち続け、それでもマイナスの場合は、一旦課税口座に払い出しを行い、その後に損切するか、値上がりするまで待つか、という対応が可能となりました。
5年後の非課税期間終了時に、含み損が出ている場合の対応が改善されたということで、もちろん非課税期間の途中で、損切が必要な場合もあります。
ロールオーバーについても記述がありますが、以下の例では、100万円で購入した商品が、80万円に値下がりしていた場合は、80万円のNISA枠でロールオーバーするとなっています。この場合の払い出し価格(簿価)が100万円なのか、80万円なのかは明記されていません。この商品をさらに5年間持ち続けた場合の対応がどうなるのか、気になるところです。簿価が80万円になっていたら、そして、さらに5年後も80万円のまま値上がりしていなかったら、現行のNISAの問題が解決されていないことになります。せっかく制度改正するのですから、100万円の簿価でロールオーバーできると考えたいですね。
(判明したらこちらに掲載します)
平成29年度の税制改正では、課税口座に移管する場合は、払い出し価格(簿価)はその時の時価となっています。つまり、依然としてNISAで含み損が出ると、税金を多く払うことになります。
◆現行NISAの恒久化
併せて、現行NISAも恒久化されます。現在は投資は平成35年で終了となっていますが、今回これを恒久化され、ロールオーバーも繰り返すことが可能となります。
ジュニアNISAも同じ扱いかは、資料では明確ではありませんが、たぶんジュニアNISAも含まれると思われます。
(判明したらこちらに掲載します)
平成29年度の税制改正では恒久化は見送りとなっています。
2016年5月27日に金融庁からNISAの利用状況に関する調査結果が発表されました。
NISAの利用状況 (2016/5発表)
http://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20160527-1.html
2015年3月31日 平成27年度の税制改正が閣議決定され、法案として提出されていた平成27年度税制改正が国会で承認されました。
NISAに関する税制改正の3項目も、そのまま承認されました。その結果、ジュニアNISAの口座開設の受付は2016年(平成28年)1月1日から、また実際の投資は4月1日から開始となります。但しマイナンバー制度の適用が遅れた場合は、マイナンバーの適用日から運用開始となります。
だそうです。 若い人に投資に興味を持ってもらうよう、各地で証券会社が大学生向けに色々なイベントを開催したようです。
NISA関連の改正も、予定通りとなっています。
・ジュニアNISAの創設 (詳細はジュニアNISAを参照ください)
・成人NISAの非課税枠を120万円/年に拡大(現行100万円/年)
・マイナンバー利用による口座開設の利便性向上
現在NISA口座開設には住民票の提出が必要ですが、平成28年(2016年)1月に導入が予定されているマイナンバー(社会保障・税番号制度)を利用する事で住民票の提出が不要となり、口座開設までの所要時間が大幅に短縮される予定です。
マイナンバーの詳細については内閣官房ホームページをご参照ください。
ちなみに、閣議決定とは内閣の各閣僚が法案提出に同意することです。その後、国会で審議、承認され正式に法律として成立します。
◆毎年取扱い金融機関の変更が可能になります
平成26年の税制改正により2015年1月以降は所定の手続きにより、同一の勘定設定期間内であってもNISA口座を開設する金融機関を年単位で変更可能になります。
つまり、今年開設したNISA口座の金融機関が気に入らない場合、来年から別の金融機関にNISA口座を開設する事が可能となります。もちろん、今年開設、投資したNISA口座もそのまま保持(新規投資はできません)しながら、来年は新たに別の金融機関で100万円の投資枠を利用するという事が可能です。...
手数料が高い、取扱商品が少ない等、現行のNISA口座に不満の方は、検討してみてはどうでしょうか?
◆一度閉設した口座も再開設が可能になります
海外転勤等で国内に居住しなくった場合、NISAの資格が無くなるため口座を閉鎖する必要があります。今までは、帰国してNISAの資格があっても、勘定設定期間が変わるまで、新たに口座開設ができませんでした。2015年1月以降はいつでも再開設できます。
但し、実際には非常に少ないケースと思いますが、再度開設しようとしたその年に、口座を閉鎖していた場合は注意が必要です。閉鎖した口座でNISAの取引をしていた場合は、翌年まで待つ必要があります。
NISAの投資枠100万円の上限を管理する仕組(システム)ができていないので、利用者側にしわ寄せがきていると思われます。将来マイナンバーで一元管理できるようになれば、同じ年に再度開設できるようになるかも知れませんね。
2014年6月23日に金融庁からNISAの利用状況に関する調査結果が発表されました。
それによると2014年3月末の口座数は650万口座、60歳以上の利用者が約60%となっています。
NISAの利用状況 (2014/6発表)
http://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20140623-1.html