確定拠出年金の仕組

 

 確定拠出年金(DC:Defined Contribution Plan)は掛け金を(確定して)収め、自分で運用し、60歳以降に年金(または一時金)として受け取る仕組みです。


 退職金や確定給付年金と根本的に異なるのは、「DCは自分で運用する」つまり、受け取る額は決まっていないという事です。

 

 そのため、適切な資産形成を行う人と、そうでない人では最終的に受け取る額に大きな差が生まれることになります。2016年の改正でも企業に対して、社員に継続的に投資教育をするよう努力義務を課しています。

 


日本の年金制度と確定拠出年金(DC)の関係

 

 以下の図のオレンジ色の部分は、2016年5月に国会で承認された個人型DCの範囲です。日本の年金制度は非常に複雑でわかりにくいですね。原因は、簡単に言うと色々な年金制度を、徐々にまとめようとしている途中だからです。

 

 ここでは、年金制度の解説はひとまず置いておいて、確定拠出年金(以後DCと表記)をできるだけわかりやすく、解説したいと思います。

 

出典:厚生労働省 年金制度基礎資料集(2023/1)より抜粋

DCには個人型と企業型がある

 

 DCには大きく分けて、個人型(iDeCo)と企業型の2つのタイプがあります。

 

 自分の勤めている会社が企業型DCを採用している場合は、企業型DCに加入する事ができます。

 

図を見てわかるように、今までは企業型DCを採用している企業に勤めている社員は個人型DCに加入する事ができませんでしたが、今回の改正で、条件を満たせば、2017年1月から個人型DCにも加入する事ができるようになりました。

 

 企業型DCを採用している企業以外の人は、全て個人型になります。企業型DCには加入できません。

 

 なお、企業型DCを採用している会社で、選択型を採用している場合、社員の拠出分をDCに拠出せず給料として受取る事も可能です。税制面の特典と、厚生年金、社会保障を考え、どちらを選択するか慎重に検討する必要があります。

 

個人型(イデコ)と企業型では何が異なるの?

 

 企業型では、DCの運営管理は会社が決めたDC運用機関と商品で運用する事になります。社員はその中で選択することになります。

 

 個人型では、自分でDC運用機関を選択して、申し込みを行います。自由度は高いですが、色々な意味において自己責任となります。

 

なお、

個人型では、運営管理手数料と、国民年金基金連合会に1,236円(年額)、事務委託先金融機関(信託銀行)に768円(年額)の手数料がかかります。

 

 運営管理手数料は金融機関によって異なりますので、できれば安い所を選びたいですね。

 企業型では会社が費用を負担するので、個人は運営管理手数料を払う必要はありません。

 

運営管理手数料の一覧は以下のサイトで確認できますので、参考にしてください。

http://www.benefit401k.com/MORNINGSTAR/doc/select_03.html

 

企業型と個人型の違い一覧

  企業型年金 個人型年金(iDeCo)
加入 会社が退職金制度として導入している場合に加入
※加入対象者が決められていたり、加入するかを選べるケースもあります

自分の意志で入る任意加入

※加入条件があります

掛金

原則、会社が負担

※会社負担分に従業員本人が上乗せして拠出できるケース、本人のみ拠出するケースもあります

自分が負担

※以下の拠出限度額参照

納付

積立方法

会社から納付

自分の口座から振替

※給与天引きにより会社から納付

してもらうこともできます

金融機関の選択 会社が選択 自分が選択
運用商品 会社が用意してくれている商品から選ぶ

自分が契約する金融機関で用意し

ている商品から選ぶ

口座管理料

会社負担のケースが多い

※従業員本人が負担するケースもあり、制度の規約で定められています

自分が負担

運営管理手数料+

国民年金基金連合会に1,236円(年額)、事務委託先金融機関(信託銀行)に768円(年額)の手数料が必要

資格喪失年齢

60歳~70歳

会社の規約で規定

2022年5月1日~

60歳

国民年金に任意加入、厚生年金に加入している場合は65歳まで可能

退職所得控除

企業の退職金と合算

勤続年数に応じて退職所得控除を計算

 

加入期間に応じて退職所得控除を計算

企業から退職金が出る場合は、重複期間を加入期間から引き算する

詳細は一括と分割どちらが有利?参照

対象者(制度に加入できる者)及び拠出限度額 (出典:厚生労働省)

  企業型年金 個人型年金(iDeCo)
実施主体  企業型年金規約の承認を受けた企業 国民年金基金連合会
加入できる者

実施企業に勤務する従業員

※厚生年金保険の被保険者のうち厚生年金保険法第2条の5第1項第1号に規定する第1号厚生年金被保険者又は同項第4号に規定する第4号厚生年金被保険者

1.自営業者等(農業者年金の被保険者の方、国民年金の保険料を免除されている方を除く)
(国民年金第1号被保険者)
2.厚生年金保険の被保険者(公務員や私学共済制度の加入者を含む。)

(国民年金第2号被保険者)

3.専業主婦(夫)等

(国民年金第3号被保険者)
掛金の拠出

事業主が拠出(規約に定めた場合は加入者も拠出可能)

加入者個人が拠出(「iDeCo+」(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)を利用する場合は事業主も拠出可能)

拠出限度額

1.厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合
55,000円(月額)

※ 規約において個人型年金への加入を認める場合、35,000円(月額)
2.厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合
27,500円(月額)

※ 規約において個人型年金への加入を認める場合、15,500円(月額)

令和4年10月1日~

1.自営業者等
68,000円(月額)
※ 国民年金基金の限度額と枠を共有
2.国民年金第2号被保険者

①企業型DCのみに加入

 5.5万円ー各月の企業型DCの事業主掛金額

(但し、月額2万円を上限)

②企業型DCとDBなどの他制度に加入

 2.75万円ー各月の企業型DCの事業主掛金額

(但し、月額1.2万円を上限)

③DB等の他制度のみに加入(公務員を含む)

 月額1.2万円

④企業型DC,DB等の他制度のいずれにも加入していない

 

 月額2.3万円

3.国民年金第3号被保険者

 (専業主婦(夫)等)

 月額2.3万円

  

注意:令和6年12月より変更になります