確定拠出年金の受取り方

確定拠出年金の受取り方のタイプ

 DCの受給では受給の繰下げについて書いてきましたが、本題の受け取り方について話を進めましょう。受け取り方には5つのタイプがあります。

・老齢給付金 (一括受取)

・老齢給付金 (分割)

・老齢給付金 (一括受取と分割の併用)

・障害給付金
・死亡一時金

さらに老齢給付金の分割での受け取り方として以下のタイプに分かれます

・分割取崩型
・年金商品(*)

以下の一覧表にまとめましたので、参考にしてください。

受取のタイプ 受取形式 分割のタイプ 税制その他
老齢給付金(一括受取) 一時金  

退職所得控除対象

一部を一括で受取る場合、

残りは分割で受取りとなります

 老齢給付金(分割)

年金形式

分割取崩型

 年金所得控除対象

年金商品

■確定年金
■終身年金
■分割払年金

障害給付金

一時金

年金形式 

 

 加入年数に関係なく、70歳に

到達する前日までに高度障害

になった場合、受け取りが可能

死亡一時金 一時金    

一括受取

 運用資産残高の全て、または一部を一時金として受取る方法です。一部を一時金として受取る場合は、残りは分割形式での受取となります。

 一括受取は退職金の扱いとなりますので、企業から受け取った退職金と合計して、退職所得とみなされます。合計が退職所得控除額を上回る場合は、退職所得として課税されます。

退職所所得控除を超える場合、一部を分割で受け取ることで節税になる場合があります。

分割取崩型

 「分割取崩し型での受取り」とは、受け取り開始時点の年金原資額および加入者が選択した受給期間に応じて、年金資産から一定額を取り崩しながら、年金として受け取っていく方法をいいます。

 受け降り期間は5年~20年の間となっていますが、金融機関により最長の期間が20年より短くなっている場合もありますので、ご自身の取り扱い金融機関に確認ください。

 分割取崩しの場合には、受け取り開始後も引き続いて積立金の運用は行われます。従って、積立金の運用状況によっては、受け取り開始時点で想定していた給付内容から、実際の受取り額が変わっている可能性があります。
 例えば、運用環境等が思わしくない場合には、当初想定していた受取り期間の途中で年金資産残高が不足するといったこともありえます。

 このあたりは、各人のリスク許容度の範囲を考えながら、対象商品を選択する必要があります。元本保証の商品と元本保証の無い投資信託等をどのような比率で運用するかは、その人のライフプラン全体の中で考えましょう。

 

 なお、分割で受取中は口座管理料、振込手数料など一定の費用が発生することに注意してください。

 

年金商品

年金商品の受取は以下の3つから選択する事ができます。

■確定年金
■終身年金
■分割払年金

 但し、年金プランにより、確定年金、終身年金は選択できない場合があります。ご自身の金融機関に選択できる受け取り方法は確認が必要です。一般的に個人型DCは、確定年金と終身年金は選択できないようです。このことも、各社のホームページ等では十分な説明がされていません。

 

・分割払年金

 分割取崩型と同じです。年金商品としてのメリットはありません。個人型DCでは分割払年金の受取となり、年金商品を選択するメリットはありません。逆に毎回の受取は途中解約扱いとなり、元本割れのリスクもありますので注意が必要です。この事実もホームページなどでは十分な説明がありません。

 

・確定年金での受取

「年金商品としての受け取り」は、年金の受取り期間等により、支給される年金額が予め定められる運用方法に基づいて、年金を受け取っていく方法です。年金商品で受け取るメリットは毎月の受取額が確定していることです。

 

・終身年金での受取

 年金商品の場合の終身受取りについては、生命保険会社が提供する利率保証型年金保険の積立金から受給する場合のみ可能です。

 また、有期年金と終身年金の両方を選択し、併用することも可能です。この場合、有期年金については1種類のみ選択可能です。

 

・年金の受取期間

 年金の受取り期間は、以下の中から加入者が選択できます。
1. 5年
2. 10年
3. 15年
4. 20年
5. 保証期間付終身(保証期間は5年・10年・15年・20年の4種類)

注意:金融機関により取扱に差があります。正確にはご自身の金融機関に確認ください。